今でも時々思い出す里子がいます。10年以上前、我が家に委託された3歳の男の子のことです。音楽の好きな子で、童謡の他Ｊポップや昭和歌謡など、たくさんの歌をその子と一緒に歌いました。中でも彼が気に入って何度もリクエストしたのは、美空ひばりさんの「お祭りマンボ」でした。
家庭引き取りが決まって、児童相談所に送っていく車の中で、その子も別れの気配を感じていたのでしょう。運転している私に何度も「お祭りマンボ」を一緒に歌ってくれと言ってきました。児童相談所が近づいてきて、最後の「お祭りマンボ」を歌い始めたとき、前がぼやけて運転が危なくなってしまいました。最近、アメリカの古いフォークソング「ドナ・ドナ」を勝手にこのときの心境の歌詞に変えて歌っています。
「ある晴れた昼下がり 児相へ向かう道 我が家に来た道 今日は戻り道 何も知らないこの子にも おうちに帰るのがわかるのだろうか お祭りマンボを歌おう きみの好きな歌 お祭りマンボを歌おう きみの好きな歌」
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